10年以上食肉業界で仕事をしています。
こんな仕事をしていると、家の冷蔵庫や冷凍庫が肉で溢れかえります。
商品検討サンプルやら、品質確認した残りの肉やらたくさんお肉をもらえる機会に恵まれます。
その結果冷蔵(チルド)での保管では食べきれない状況になります。
なので、基本的に家では冷凍して肉を保管します。
今回はそんな私が、業界の先輩から聞いた方法を中心にどのように冷凍肉を扱っているかをお伝えしたいと思います。
目次
冷凍肉を美味しく食べる原則
はじめに言ってしまうと、原則は上手に酸化防止することと温度管理をすることです。
チルド(冷蔵)肉にくらべて冷凍肉は美味しくないです。
なぜか?
2つの点が美味しさを損ねるからです。
臭みが出てしまうことと、旨味がなくなることです。
臭みに関しては、空気に触れさせないこと(酸化防止)
旨味に関しては、温度管理
が重要になります。
冷凍方法
空気に触れさせない
ラップでびっちり肉を巻きます。
とにかく肉と空気が触れないようにラップするのです。
スライスであれば、一枚一枚ラップの上に重ならないように並べて置きます。
その後ラップをたたむようにして、空気が入らないようにラップします。
サイコロステーキも、ラップの上に丁寧に並べて一枚のステーキのように並べます。
その後ラップを折るようにして、空気が入らないようにラップします。
アルミにのせて冷凍庫へ入れる
出来るだけ、素早く冷凍状態に持っていくことが重要です。
ただ家庭でできることは限られています。
アルミなど金属のトレーの上に置いて、冷凍庫に入れると良いです。
100均などでも買えますし、これで劇的に早く冷凍させることができるようになります。

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とりあえず、アルミホイルを4、5重にしたものの上に置くでも良いと思います。
この冷凍方法が良い理由(興味ない人は飛ばしていいよ)
酸化防止
ラップをして肉の酸化防止をすると、冷凍臭といわれる冷凍特有の変な匂いが発生しません。
温度管理
-1度から-5度の温度帯で、肉は凍ります。
この温度帯に肉がある時は、肉の細胞が破壊され続けます。
細胞が破壊されると解凍した時にドリップ(血のような液)として旨味と一緒に肉の外に出てしまいます。
なので、この温度帯を出来るだけ短い時間で通りすぎることが大事です。
ちなみに、この方法はそのまま食肉業界が肉を冷凍する時の方法です。
当然設備が家庭の冷蔵庫とは全く違うので、もっと効果が高くなりますが、、、、
原理は同じです。
真空パックをかけた肉を、-50度の冷凍庫で風をガンガンあてて急速冷凍します。
冷凍保存期間
ずばり、我が家の冷凍庫の肉に関して気にしたことはないです。
見た目、臭いでいけるなと思ったら食べちゃってます。
ただ、感覚的には半年ぐらいは大丈夫かなと思っています。
なお、食肉業界は部分肉(5キロぐらいの塊)の状態でそれなりの設備で冷凍した場合は2年、すぐ食べられるぐらいの大きさに加工した状態で1年が賞味期限となっていることが多いです。
部分肉とはこちら
豚肉の部位 - ぶたぞーブログ
理論的には、-18度で増殖する菌はいないし、酸化防止できているのであればいつまででも問題なく食べれます。
ただ、冷凍する前の状態が悪い肉の場合は当然冷凍しても状態が良くなるとことはありません。
腐った肉は、冷凍しても凍った腐った肉です。
なので、冷凍すると決断するのは早い方が良いです。
調理方法(解凍方法)
調理方法も原則に従います。
-1度から-5度の状態をいかにに短くして、解凍するかが重要です。
スライス肉
なので、スライス肉などはそのまま焼いたり、鍋に入れたりします。
解凍はしません。冷凍状態で調理を始めます。
ステーキ・ブロック肉
難しいのが厚みのある肉です。
そのまま焼いたり、煮たりしてもうまくいきません。
中まで熱が入らないからです。無理に中まで熱を入れようとすると外側が焦げてしまいます。
そこで、レンジを使います。
レンジの解凍機能(なければ普通にあたためる機能)を使えば、一気に全体が解凍されます。
そのため、魔の温度帯を短い時間でくぐり抜けられます。
温める目安としては、400gの塊で600w3分ぐらいです。肉のサイズによって時間は調整必要です。
その後調理を始めます。
おすすめ、調理方法はこちら
まとめ
・原則は上手に酸化防止することと温度管理をすることです。
具体的には、ラップでびっちり巻いて冷凍すること。
一気に凍らせて、一気に解凍して調理すること。
・保存期間は半年程度
これをするだけで、冷凍肉の料理した後の味は劇的に改善されます。
家での無駄のない、おいしいお肉ライフに貢献できたら幸いです。