ぶたぞーブログ

みなさんに豚肉をおいしく、賢く食べていただきたいと思ってます。豚道の道のりはとてつもなく長そうですが、お付き合いいただけたら嬉しいです。

外国産豚肉(チルド)の在庫管理はドラマだ


こんにちはぶたぞーです。

在庫管理という仕事は大変だと思ってます。

余らせて損失がでても駄目だし、在庫が不足して販売のチャンスを逃しても駄目なのです。

余らせもせず、在庫不足も起こさせず適正量の在庫を保つことが求められます。

しかも、適正量の在庫を保っていたからといって、良くやったなと褒められることはありません。

でも、余らせたり、在庫不足を起こしたら怒られる…つ、つらい

これぞ正に縁の下の力持ちな仕事と言えるでしょう。在庫管理をされている方、お疲れ様です。


私も商社で、在庫管理の仕事は5年以上経験しており、私のキャリアの中で最も長いものとなっています。

その中で、和牛、外国産牛肉、国産豚、外国産豚肉(チルド)、外国産豚肉(冷凍)、外国産鶏肉、挽肉など様々な在庫管理を経験しました。

ただなんと言っても大変なのが外国産豚肉の在庫管理です。ドラマに満ち溢れちゃってます。

今日はそんなドラマを少しだけ紹介します。


目次

ドラマを呼ぶ外国産豚肉の短い賞味期限

以前のブログ外国産豚肉にまつわるすごい温度管理の話!! - ぶたぞーブログに詳しく書いておりますが、外国産豚肉の製造後賞味期限は約50日程度です。

アメリカやカナダで製造されたチルド豚肉は、コンテナ船で太平洋を渡ってきます。

そのため結局私の会社が管理する日本国内の冷蔵倉庫に入るまでに20日ちょっとかかります。そのため、賞味期限の残りはその時点で30日間を切ってしまいます。

冷蔵倉庫から各エリアにある営業所や配送センターに豚肉を運ぶのですが賞味期限ぎりぎりで配送するわけにはいきません。

実質私たちが外国産豚肉を在庫できる期間は10日間ぐらいになります。

つまり、10日以内に全ての外国産豚肉をスーパーやお肉屋さんなどに売り切らなくてはならないのです。

外国産豚肉は予約制じゃない

10日もあれば売れるんじゃないのと思ったあなた、甘いです。そう簡単に売れていかないのがこの世の厳しさです。

なんと言っても、外国産豚肉は業界慣習で予約しないで取引される部分が多いです。

晴れたら売れますし、雨が続けば売れません。国産豚肉相場豚って相場品って知ってる? - ぶたぞーブログによっても売れ行きは変わります。

外国産豚肉は発注してから日本につくまで4週間くらいかかるので、1ヶ月後のマーケットを予測しながら仕入れをします。

しかも、私たちは外国の加工工場から予約制で仕入れをします。

売るときは予約制でないのに...仕入れは予約制です。私たちの立場は弱い…

まあ、1ヶ月後のマーケットの予測なんて当たらない、当たらない

トラブルあるある通関遅れ

外国産豚肉在庫管理管理で一番よくあるトラブルが通関遅れです。

輸入品はどんな商品でも通関(日本に入れて良いですよとうい国の許可)が必要です。

そして、通関はお役所の仕事なので書類に不備があるともちろん通関が切れません。また、事前に申請している数量と実際の数量が1ケースでも違う場合も通関は切れません。

やはり、人間のやることなので、書類不備や数量の不一致とかはざらにあるんですよね。

また、台風が来て、船の港への入船が1日遅れるなんてこともよくあります。

感覚ベースでは2ヶ月に1回ぐらいは、通関のプチ遅れに遭遇します。


でも、多くの食品や商品は在庫を多めにすることで、このようなトラブルを回避できます。

ところが、輸入豚は最長でも在庫が10日程度しか持てず、たまたま売れ行きが良い時などは通関前には在庫がすっからかんということも珍しくありません。

そんな時は、同じような商品を扱う日本国内の他商社などに電話をかけまくり、メールをしまくり少しでも余っている外国産豚肉をかき集めます。

それでも集まらない時は、販売先のスーパーやお肉屋さんに少しでも納品日を後倒しできないかなど、お願い交渉をひたすらします。

まあ、なかなか辛いです。

年に一度くらいある気象系トラブル

また、アメリカやカナダは大自然の国です。特に冬は気象系のトラブルも起きやすいです。

大雪。

大雪が数年に一度降っちゃいます。すると、北米の港まで豚肉を積んだトラックや列車が着きません。

すると、予定していた豚肉が来ない…とまた対応に追われます。

しかも、日本のスーパーやお肉屋さんにカナダが大雪で豚肉が来ないんですと言っても、まったく実感を持ってもらえません。そりゃそうですよね。ニュースにもならないし。

なんで「ごちゃごちゃ言ってないで、豚肉もってこーい」となってしまう訳です。

数年に一度のビッグトラブル港湾ストライキ

さらに、やばいトラブルが港湾ストライキです。

これは究極的にやばかったです。2015年アメリカの港では数年に一度の大規模なストライキが起きました。普通ストライキって半日とか1日で終わりますよね。

このストライキは、3ヶ月ぐらい継続しました。そのため、北米の港にはコンテナがとんでもない数滞留して、契約した豚肉が待てども待てども来ないというとんでもない事態が起きました。

チルドの豚肉なのに2週間ぐらい船が遅れて入船して、通関切ったら賞味期限があと2日しかないなんてことまで起きました。

これは、やばかったですね。食肉業界すべてが同じ状態に追い込まれました。賞味期限が迫っているものは泣く泣く冷凍したり、謝りながらいつもより賞味期限が短い豚肉を販売先には使っていただきました。

このストライキは本当に迷惑なので、次回は起きないようになんとかして欲しいですね。

100年に一度?東日本大震災

大震災の時も、在庫管理の仕事をしてました。

あの時は、皆んなが大変でしたが、外国産豚肉在庫管理も大変でした。

まず、冷蔵保管庫のいろいろな所が故障します。特に今はハイテクな冷蔵保管庫が多く、冷蔵庫内の物の移動はレールを伝って行われることが多いです。

震災でレールは曲がりました。この時はハイテクが仇となりました。レールを伝ってでないと運び出せない物は完全に取り出せなくなってしまいました。

私たちの冷蔵保管庫は、ローテクだったことが幸いしてフル稼働できました。そして、災害時って肉が売れるんですよね。やはり、人間生命の危機を覚えると肉を食べようってなるんでしょうね。

震災後1ヶ月近くは仕入れるだけ仕入れた豚肉は飛ぶように売れて行ったことを覚えています。


まあ、長いこと外国産豚肉の在庫管理をやってるといろんなことがあったなーとしみじみ思います。

こうして、私たちの外国産豚肉在庫管理は明日も続くのです。